わたしは吸血鬼なカレの番



一通りの会話を終えたところで、庭園の中央にある大きな噴水の前に辿り着いた。

先輩はふと足を止め、空に浮かぶ満月を見上げる。



「……こんな風に、自分の話をしたのは初めてだ」

「えっ、そうなんですか?」

「ああ。誰も俺にそんな問いは投げかけん。みんな、神城の次期当主としての俺しか見ない。……誰も、素の俺になど興味がないのだろう」



自嘲気味に、どこか寂しげに微笑む彼。


完璧な生徒会長

純血の吸血鬼

冷酷な支配者──


そうやって周囲から恐れられ、崇められ、持ち上げられてきた先輩の、深い深い孤独の深淵。

誰にも心を開けず、自分のことすら語れなかった彼の寂しさが痛いほど伝わってきて。

胸の奥が、ぎゅーっと押し潰されそうに痛くなった。

気づけば、私の身体は勝手に動いていた。