「……面白いものではないぞ」
「あ……」
「神城家は、この学園の創立者であり、全あやかしの頂点に立つ家系だ。……生まれた瞬間から、俺は『王』としての完璧さを求められた」
神城先輩の声は、どこか遠くを見つめるように淡々としていた。
「母親の温もりなど知らん。生まれた時から離れで育てられ、友人を作ることも許されなかった。『甘えは弱さだ』と教え込まれ、ただひたすら学問と帝王学、そして戦闘術を叩き込まれる日々だ」
「……友人すら、作れなかったんですか……?」
「ああ。周囲にいる者は皆、俺を恐れるか、媚びを売るか、神城の権力に群がる者ばかりだ。……俺という個を見てくれる者など、一人としていなかった」
淡々と語られる、壮絶すぎる過去。
先輩がなぜあんなに孤高で、他者との距離を置き、愛情の表現が不器用なのか。
なんだか分かった気がして胸がぎゅっと痛む。
こんなにも綺麗で尊い人が、そんな暗闇の中でたった一人で生きてきたなんて。

