心の中で叫びつつ苦笑いを浮かべた私の頭を、ふと小さな疑問が掠めた。
そういえば私、神城先輩のこと、何も知らないな……
生徒会長としての先輩、恐ろしい吸血鬼としての先輩、そして時折見せるヤキモチ焼きな先輩。
どれも本当の神城先輩なんだろうけれど、彼がどんな風に育って、何を好きで、何に興味があるのか──
私は彼の過去も素顔も、何も知らなかったのだ。
「あの……神城先輩」
「なんだ」
「少し、質問してもいいですか……?」
神城先輩は前を向いたまま、「構わん」と短く答えた。
「神城先輩はどんな幼少期を送ってこられたのかなって……」
私の問いかけに、神城先輩は一瞬だけピタリと足を止めた。
あ……やっぱり、聞いちゃダメだったかな……っ
焦って取り繕おうとしたけれど、神城先輩は夜風に黒髪を揺らしながら、静かに再び歩き出した。

