わたしは吸血鬼なカレの番


◇



静まり返った夜の庭園。

頭上に浮かぶ大きな満月が、青白い光で二人を静かに照らしてる。

風が吹き抜けるたび、夜の薔薇の香りがほのかに漂っていた。


うぅ……二人きりで夜の散歩なんて、何だかすごく緊張する……


横を歩く神城先輩との距離は、ほんのわずか。

私はチラチラと先輩の綺麗な横顔を盗み見た。

月光に照らされる肌は、まるで繊細な彫刻みたいに美しい。


えーっと、こういう時って何を話せばいいんだろ……沈黙が重いよ〜!

沈黙に耐えきれなくなった私は、思いついた話題を咄嗟に口にした。


「あ! そうだ」

「ん?」

「この間の数学のテスト! 80点でした!」



胸を張ると、横を歩く神城先輩はフッと小さく眉を上げた。



「ほう、それは良かったな」

「へへ……神城先輩が放課後にたくさん教えてくれたおかげです!」

「ふん、あの程度どうということはない。……必要ならまた教えてやってもいい」



そう言って、前を見たまま先輩は少しだけ歩幅を私に合わせてゆっくりにしてくれる。

そんなさりげない優しさにキュンとしたのも束の間──。



「――そのかわり、お代はたっぷりいただくがな」

ヴァル先輩は私の首筋にすっと視線を滑らせ、意地悪そうに目を細めてみせた。

その妖しい瞳の光に背筋がゾクッとする。



「カ、カンガエトキマ〜ス……」



絶対また血を吸われるやつだーーーー!!