「いえ! 神城先輩って本当にすごいんだなぁって……改めて尊敬しちゃいました」
「……なに?」
「私、神城先輩は生まれつきなんでもできる天才なんだって思ってました。でも、陰ですごく努力されてきたんですね。本当にかっこいいです!」
まっすぐにそう伝えると、神城先輩は一瞬だけ目を見開いた。
それから、気まずそうにふいっと顔を背けた。
彼の真っ白な肌の耳の先端が、ほんのり赤く染まっている。
「……べ、別に大したことではない。この程度の学問、神城の人間なら当然の嗜みだ」
「でも、すごいです!」
「……うるさい。ほら、雑談は終わりだ。次に行くぞ」
照れくさそうに咳払いをして、彼は再びペンを握り直した。
──それから数時間後。
「解ける……! 解けます神城先輩! 私、数学が解けるようになりました……!」
神城先輩の熱心な指導のおかげで、私は次の小テストの範囲まで完璧に理解することができた。
「当たり前だ。誰が教えたと思っている」
「ふふ、神城大先生のおかげです!」
すっかり晴れやかな気分になり、ノートを鞄にしまって立ち上がろうとした──その時だった。

