連れていかれたのは、旧校舎の裏手。 誰も来ない、大きな木陰と壁に囲まれた雨宿りの影だった。 ドスン、と背中が冷たい外壁に当たる。 逃げ場を完全に塞ぐように、神城先輩が目の前に立ちはだかった。 「あ、あの……神城先輩……? 生徒会室はこっちじゃ……」 「……黙れ」 先輩の手から、バサリと傘が地面に落ちた。 「っ! 傘が──」 拾おうとした私の手を、彼の手が強く壁に押しつける。 先輩はそのまま私の首筋に顔を埋めると、深々と呼吸を吸い込んだ。