「あの……その……」
私は顔を真っ赤にしながら、神城先輩が差し出す傘の柄を、そっと下から握った。
「い、一緒に……入っていきませんか……?」
「……」
「だ、だって! 傘、すごく大きいですし! 二人でも余裕で入れますから……っ!」
自分で提案しておいて、恥ずかしさのあまり爆発しそうになる。
私、なに言ってるんだろう!
学園の頂点に立つ会長に向かって、相合傘なんて!
断られて「身の程を知れ」って怒られるかもしれない。
ぎゅっと目を瞑って身体を硬くしていると──。
「……フン」
ヴァル様は一瞬だけ驚いたように目を見開き、それから鼻で小さく笑った。
そして、持っていた傘の位置を、すっと私の方へと寄せてくれたのだ。
「……身の程知らずな人間だな」
ぽつりと呟かれた言葉には、なぜか冷たさはなかった。

