「あ、あの……! 何言ってるんですか……!? 離してくださいっ!」
パニックになりながら必死に手を引っ張って逃げようとする。
少しでも早くこの人から離れないと……っ!
だけど、彼の力は見た目の細身からは想像もつかないほど強かった。
「逃げるな」
「きゃっ!?」
暴れる私を、彼は片腕で軽々と抱き寄せた。
ドン、と背中が壁に当たり、彼の身体の間に挟まれて逃げ場を完全に失う。
壁ドン……!?
いや、今はそんなロマンチックな状況じゃない!
彼は満足そうに私の指先の血を丁寧に舐め取ると、至近距離で私を見つめてきた。
真っ赤な瞳が私を捕らえる。
その美しさと注がれる熱量に、私は目を逸らすことができない。
「……期待以上だ。まさかこんなに近くに、俺の飢えを完全に満たす存在がいたとはな」
「え? うえ……?」
「最高だよ、白石あかり」
多分褒められてるんだけど……。
意味不明過ぎてもう泣きそう。

