先輩は私の両手首を片手で掴むと軽々と頭の上に固定してしまった。
腕に力を込めてみるけれど、固定された手首はピクリとも動かない。
私の小さな抵抗なんて、先輩にの前にはまったくの無意味であることを思い知らされる。
ヴァル先輩の赤い瞳が怪しく揺らめいて、鋭い犬歯が月光を反射した。
「……力を抜けあかり」
「んぁ……っっ!?」
首筋に走る、ちくりとした鋭い痛み。
直後、身体の奥から熱が奪われていくような甘くて痺れる感覚が全身を駆け巡る。
私を愛おしそうに抱きしめながら、喉を鳴らして血を吸うヴァル先輩。
甘い痺れに包まれながら、私は先輩の大きな背中に解放された両手をそっと回した。
温かくて、頼もしくて大好きな背中。

