「お前が無事なら、俺の怪我などかすり傷だ。責めるな……俺が不甲斐ないばかりにお前を危険に晒したのだから」
ヴァル先輩はそっと私の体を引き寄せ、大きな腕で優しく抱きしめてくれた。
先輩の甘い香りと体温が全身を包み込んで、私の背中をあやすように何度も優しく撫でてくれる。
……どのくらいの時間が経っただろう。
私の涙が少し落ち着いた頃、先輩は私を強く抱きしめたまま、噛み締めるように低く呟いた。
「……お前が消えたと知った時」
「え……?」
「あかりが何者かに連れ去られたと悟った瞬間……俺の世界から、すべての光が消え去った」
ヴァル先輩の声は低くて静かだったけれど、そこには重く深い感情がこもっていた。
「息の仕方も忘れるほど……心が引き裂かれ、絶望した」
「ヴァル先輩……」
先輩は私の身体をそっと離すと、両手で私の肩を優しく掴む。
そして、爛々と真っ赤に光る、だけどどこまでも柔らかくて温かい瞳で、まっすぐに私の目を見つめてきた。

