「──ヴァル先輩!」
「あかり……」
部屋の奥。
大きなベッドに横たわっていた先輩が目に入る。
彫刻のように綺麗な顔に残る激しい暴行の痕が痛々しくて、胸がキュッと締め付けられた。
私に気づいた先輩が、のそりとベッドから起き上がってこちらへ歩み寄ってくる。
「先輩! 寝てないとダメですよ……っ!」
「……問題ない。東條寺が寝ていろとうるさいから横になっていただけだ。もう動ける」
いつも通りのちょっぴり不愛想な口調。
だけど、私を見つめる赤い瞳には、安堵したような柔らかさが滲んでいた。
「ケガはないか」
「はい、私は全然平気です……! それより先輩こそ……!」
「……この程度、どうということはない」
自分の体のことよりも私を真っ直ぐ気遣う先輩。
私の軽率な行動のせいでこんなことになったのに、どこまで優しい人なんだろう。

