「なんで反撃しなかったんですか……っ! 私のことなんていいから、あんな奴らぶっ飛ばせば良かったのに……っ! バカです、ヴァル先輩のバカ……っ!」
胸に顔をうずめてボロボロと涙をこぼす私に、ヴァル先輩は困ったようにフッと吐息を漏らした。
「あかりは俺の番だ。あいつらに傷つけられ、汚されるくらいなら……俺の身など、どうなっても構わん」
「ヴァル先輩……」
「……よく、無事でいてくれた」
首筋に、彼の熱い吐息が深く触れる。
私を抱きしめる彼の耳元が真っ赤に染まっているのが分かった。
そして、傷だらけの大きな手が、私の頭を包み込むように優しく撫でてくれる。
冷たくて不気味だった地下室の中で。
私は先輩の胸の鼓動と温もりを全身で感じながら、溢れ出る愛おしさの涙を止めることができずにいた。

