◇
静まり返った地下礼拝堂。
転がる瓦礫と、縛り上げられたままぐったりとしている男たちの中で。
ヴァル先輩は肩で息を荒げながら、ゆっくりと私の方へと歩み寄ってきた。
仕立ての良い制服は破れ、額や口元からは痛々しく血が流れている。
だけど──私を見つめる彼の赤い瞳には、激しい怒りや苦痛ではなく、溢れんばかりの安堵が宿っていた。
「……あかり」
「ヴァル先輩……っ!」
先輩は私の手足を固く拘束していた縄を手早く解くと、そのまま力任せに私を抱き寄せた。
全身を包み込む、先輩の甘い香りと体温。
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