わたしは吸血鬼なカレの番



けど──今日のヴァル先輩は、いつもと少し違っていた。

以前の彼なら、私の腕を強引に掴んで「俺の側にいろ」と生徒会室に閉じ込めていたかもしれない。

でも、今の先輩は不機嫌そうに眉をひそめながらも、私を手元に縛り付けようとはしなかった。


先輩の横顔をじっと見つめると、葛藤しているのが手に取るように分かる。



「とはいえ……」

「へ?」

「……とはいえ、あかりが学園に馴染むのは……いいことだ」



絞り出すようにぽつりと呟かれた、その小さな一言。



『お前がここで笑ってくれていて、よかった』


あの日、夜の庭園で彼が言ってくれた言葉が脳裏をよぎる。

ヴァル先輩は、私が学園に馴染んで友達と楽しそうに過ごしていることを──本当は喜んでくれているんだ。