わたしは吸血鬼なカレの番



思いもよらない言葉に心臓が嫌な音を立てる。

ヴァル先輩は一歩歩み寄ると、私の頬にそっと指先を滑らせ、まっすぐに見つめてきた。



「……決して一人で怪しい場所へ行くな。俺や東條寺の目の届かないところへは行かないこと。いいな?」



冷たくも、必死に私を護ろうとする真剣な眼差し。
私は唾をゴクリと飲み込み、深く頷いた。



「は、はい……! わかりました」

「……良し」



私の返答に満足したように小さく頷くと、ヴァル先輩の表情は静かなものへと戻った。



「ではな、あかり。……良い夢を」

「はい! ヴァル先輩も、おやすみなさい」



名残り惜しそうにしながらも、ヴァル先輩は闇の中に消えていく。


不穏な動き……かぁ。

思わぬ忠告に胸がざわざわするのを感じながら、私は先輩が去って行った先をただずっと見つめていた。