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冷たい風が心地いい学園の小道。
前回と同じように二人で並んで歩いていると、先輩がふと足を止め、私を見下ろした。
「……ヴァル先輩?」
立ち止まった私に向かって、彼が真剣な表情で口を開く。
「……前回は、俺ばかりが自分の話をした」
「え?」
「今度は……俺に、お前のことを教えろ」
まっすぐに注がれる、深みのある赤い瞳。
そこに揺れる熱量に射抜かれ、胸がどきりと激しく跳ね上がった。
「私……ですか?」
指先で自分を指さしながら、パチパチと瞬きをする。
「私なんて、ごくごく普通の人間ですし……学園のみんなみたいな面白いお話なんて、何もありませんよ……?」
「構わん。お前のことが知りたいのだ」
先輩は少しも躊躇うことなく、きっぱりと言い切った。
「あかりの今も、過去も。お前がどんな場所で育ち、何が好きで、何を考えて生きてきたのか。俺の知らない白石あかりのすべてを知りたい」

