「静かにしろ。……部屋の明かりがついていたから、まだ起きていると思ってな」
「びっくりしました……! でも、どうしたんですかこんな時間に?」
ヴァル先輩はすっと視線を泳がせ、気まずそうにふいっとそっぽを向いた。
真っ白な肌の耳の先端が、ほんのりと朱色に染まっている。
「……今日も、少し歩かないか」
「えっ……?」
「ダメか?」
チラリとこちらを伺うような、どこか不安げな赤い瞳。
「ふふ、ダメじゃないです! すぐ準備しますね」
私は急いで厚手のカーディガンを手に取り、パジャマの上から羽織る。
「ん、行くか」
ヴァル先輩にそっと手首を引かれ、私たちはまた夜の女子寮を抜け出したのだった。

