「よぉし……明日の予習も終わり!」
時計の針は、夜の23時を少し回ったところ。
女子寮の自室で机の上の教科書を片付けて、私は「ん〜っ」と大きく背伸びをした。
パジャマに着替えて、そろそろベッドに入ろうとした、まさにその時だった。
コン、コン。
え……まさか。
ドアじゃなくて、2階にある私の部屋の窓を叩く静かな音。
おそるおそるカーテンを開けると、そこには月光を背に受けたヴァル先輩が佇んでいた。
漆黒の外套を夜風にはためかせ、心なしか少し気まずそうな、照れくさそうな顔をしている。
「……あかり。起きていたか」
「ヴァル先輩!? また窓から……っ」
慌てて窓の鍵を開けると、ヴァル先輩は軽やかな身ごなしで、音もなく室内に滑り込んできた。

