キミがいたから。




──“燈”と優しい音色で呼ばれる度にキュンと高鳴るこの心臓

──“友達”と強調される度に苦しくなるこの胸

気付かないふりをしていた。気付きたくなかった…。だけどもうこの胸の高まりを、こんなズキズキと苦しくなるこの胸の意味を……知りたい。


「……爽」

家に帰って来るなり自室に閉じこもり、ベランダに出て星が輝いてる夜空へ“好きな人”の名前を呟く。

スーッと静かにゆっくり、飲み込めたような気がしたんだ。


───同時に私はこんなにも爽を好きになっていることを自覚する。

しかし、

「私なんかが好きになっていいのかな」

と思ってしまうの。だって、陰と陽…交わるはずの無いふたりが交わってしまったあの日から……分かっていたのかもしれない。


──“いつかはこうなる”と。

爽は人気者…それに反して自分は何も持っていない。あまりにも違いすぎる気がした、あまりにも不釣り合い過ぎると思った。


そして、次の日の学校の朝

私は、美桜に相談する。


「好きになるのに、資格なんて必要?」

その言葉に私は考えた。確かに…資格なんて、意味なんて必要ないのかもしれない。でも、それでも、爽とは住む世界が違いすぎるから…別の世界に住んでる人だから…こんなに怖くなってしまうよ。


──そして。


爽太郎と二人きりになったとき…


「爽って……私と正反対だよね」

「そう?」

「爽は白い感じ。私は黒い」

なんて言えば分からない。言いたいことも分かってほしいこともたくさんあるのに、喉のすぐそこまで出かかってるのに上手く言えない……。


爽は私の目を見て、首を横に振る。

「……燈は黒じゃないよ」

「え?」


───“燈じゃなくて暗闇だろ”って私の名前をバカにされたあの日。自分でも名前と合ってないなって思って悲しくなったけれど…それでも自分の名前が気に入っていた。そんな小さな光みたいな希望を…爽が一言にして一気に綺麗に大きい輝きにしてくれた。


「ちゃんと燈っていう色があるだろ」

「……爽」


どうしてそんなに優しいんだろう。

どうしてこんな私に色を与えてくれるのだろう。

どうして私がって、少しは期待してしまうよ。


爽……私、君が好きだよ。なんて言うつもりないよ



───そして、燈はその言葉を忘れられなくなる。