キミがいたから。



───いつも通り登校して、教室に入って1人自分の席へと座るとクラスメイトの美桜が私に話しかけてきて…


「前から気になってたんだ。私の名前は、白石美桜!よろしくね」

──燈は戸惑う。こうして誰かに話しかけてもらえたのなんて爽以外にいなくて。

どうしよう、自分から話すのが怖い。またバカにされたりされるのが怖い。

それでも不思議と安心できて、少しずつ会話が増えていく。


───昼休み、私は美桜と一緒に昼食を食べていた。


初めて“友達”と呼べる存在ができた。私は嬉しくて、爽にも報告する。

「友達、できた、よ…」

こんななんでもない報告、爽からしたらどうでもいいと思うかもしれないけれど。それでも、伝えたかった…“ありがとう”とありがとうの意味を込めた報告。

「よかったじゃん!」

「あり、がとう…っ」

爽の笑顔を見て、私も釣られるように笑う。


私、与えられた場所でちゃんと咲く花になりたい。
水を与えられたらちゃんと綺麗に育ちたい。

その“水”が、透明で無垢で美しい水は…貴方なんだよ、爽…。


いつものように朝美桜と話していると近づいてきた莉奈──黒川莉奈がこう言う。


「どうせ演技でしょ?爽に近づくために美桜と仲良くなったんじゃないの?」

と聞こえるように私や美桜にそう言う。

私は再び自分を責め始める。自分を責める事でしか申し訳なさは消されなかった。

だが美桜は私の手を取り、優しく諭すようにこう言ってくれた。

「そんなの違うよ」


───初めて誰かが、自分のために声を上げてくれた。

私は涙をこらえながら笑う。


「……チッ、本当にうざい」


吐き捨てるように莉奈はそう言い教室を飛び出した。