【偽】カップルですが、本当の恋を教えてください

「っ、はいっ・・・!喜んで!」
私は緋雁が期待する返事をして、その首に抱きついた。
緋雁はすぐに立ち上がり、私を抱き上げてクルクルと回る。
私のドレスの裾がふわふわと舞い、でもそれどころじゃないくらい・・・。
「目が回るぅ・・・」
「あは、ごめんごめん。嬉しくてつい」
回るのをやめた緋雁が私をおろし、少し屈んで視線を合わせてきた。
・・・うん、やっぱり着飾ってる緋雁は、すごくカッコいい。
髪をオールバックにしても似合うなんて、本当にアイドルにもなれそうだ。
まぁ、いつもの緋雁もカッコイイんだけどね!
「・・・桃祢ちゃん、今日も可愛いね」
「ありがと・・・」
「照れちゃった。いつもも可愛いけど、ドレス着るとお姫様みたい。俺との結婚式かなぁ」
また変なこと言っちゃって・・・。
でも、可愛いと褒められて悪い気はしない。
好きな人に‟可愛い”って言われるのって、こんなに幸せなことなんだなぁ。
「ねぇ桃祢ちゃん。ほっぺにキスしてよ」
「ほっぺ?・・・うん」
唇にはちょっと恥ずかしいけど、ほっぺならいいかな・・・。
褒めてもらって上機嫌になっていた私は背伸びをして、もとの身長に戻った緋雁の頬に唇を近づけたんだけど・・・。
「・・・なぁんてね」
こっちに頬を向けてくれていた緋雁が急に振り向き、唇同士が当たってしまった。
そのまま後頭部を固定され、そろりと目を開けると、悪戯っ子のように目を細める緋雁と目が合う。
騙されたっ・・・!そもそも緋雁が大人しくしてると思ったのが間違いだった・・・!
「ん、ふ・・・ひか、っ」
「あ~苦しいね、ごめんね・・・もう1回だけ」
「⁉」
すっかり攻めの姿勢に入った緋雁に押され、息継ぎができるタイミングを探しては必死に唇を離す。
流石に苦しくて体の力が抜けると、パッと唇が離れ、横抱きにされた。
「俺もお姫様抱っこくらいできるんだからね。神楽だとかなんだとか知らないけど」
「なんで桜貴さんと対抗してるの」
ボーカリストと俳優さんを比べちゃだめでしょ。
オフショットのことを言っているんだと気づきながらも、拗ねる緋雁が可愛くて笑ってしまう。
「戻ろうか。察してるとは思うけど珀と葛が心配しちゃう」
最初に受賞した私たちは先に楽屋に戻っていいと言われたけど、このカーペットは歩くので、そろそろ戻らないといけない。
すると、緋雁は私を横抱きにしたまま歩き出した。
あれ・・・ここ、見られたら結構マズいのでは。
「お、降ろして・・・」
「さすがに人がいるところでは降ろすよ」
「信じていいんだよね?」
私の言葉に頷き、ズンズンと歩き続ける緋雁。
言った通り人の目は気になるのか、しばらくすると私を降ろして、お互いの外見を確認してから珀と葛のところに戻った。