【偽】カップルですが、本当の恋を教えてください

「メンバーはどう?」
「え?」
「珀亜と葛さ、もう7,8年経ったじゃん」
焼けたお肉を食べていると、緋雁が話題を振ってくれた。
あ・・・そっか、動画がだから話さないと。お肉が美味しくてつい。
「なんかすごい・・・大人になったよね。個性の色っていうの?それぞれのオーラが濃くなってきたっていうか」
「わかる。それは桃祢も、多分俺もだけど・・・。大変なこともあったけど、2人はいつも純粋に音楽を楽しんでたよね」
「嫌になったことないよ。ずっと・・・話し合いとか何十回もしてるけど、喧嘩したことない。お互いのこと大好きだね」
口にすればするほど、やっぱり奇跡のグループだな、と思う。
真剣な話を、特に珀からすることが多かったけど、それも全部愛だ。
逆に、嫌な話をする嫌われ役を、自らリーダーだからと引き受け続けてくれた珀には、大感謝をしている。
こんなことを言ったら、珀は照れちゃうけどね。
1人でふふふと笑っていると、運ばれてきたビビンバを混ぜながら、緋雁が口を開いた。

「珀亜はさ、すごい真面目じゃん。このグループの為なら、多分どんな汚れ役も引き受けてくれると思う。このグループが『嫌なグループ』にならないように、いつも小言を言ってくれるのも珀亜だし」
緋雁が私と同じことを考えていたことに驚きながら頷くと、緋雁は少し困ったように眉を下げた。
「でも・・・珀亜は1人で背負い過ぎだよね。珀亜1人でいつも、俺らの知らないところでグループを守ってくれてる」
「同じグループなんだから、同じだけ背負いたいね。グループのバランスを保つために珀の個性が後回しになるなら、・・・まもってもらってる私たちは、その珀が個性を出せるグループでいたい」
メンバーのことを話している時の緋雁は、どんな時よりも温かく、愛情にあふれている。
本気で大好き・・・ううん、愛してるんだなぁって、いつも感じさせられるのだ。

「葛はね、飄々としてるように見えるけど、結構・・・なんていうの?」
「振りむずっ⁉・・・うーん、葛も真面目なほうだね。音楽もファンもメンバーも全部大好きで・・・一途?」
年上を敬えとか冗談で言うことはあるけど、同い年みたいに接してくるし。
兄貴っぽくはあるけど、‟好き”にまっすぐな少年っぽくもある。
「たしかにね、内に秘めるものは誰よりも大きいかも。大型犬みたいだよね。好きなことはとにかく好き!みたいな。だから葛の奥さんになる人はねぇ、大変ですよ」
「愛が重いからね、物理的に。でも不安にはならないだろうし、ストーカーみたいなこともしないだろうし、もちろん浮気なんてしないし、家事も苦痛じゃないタイプだから、理想の旦那さんではあるかもね」いつもすすんで家事をしてくれる紳士な葛。
本人に結婚願望があるのかは知らないけど、葛を好きになる人は、センスがいいと思う。
まぁ、3人とも超オススメ優良物件だけどね!
「緋雁はね、溺愛パパになりそう」
「娘が彼氏連れてきたら追い返すからね」
「典型的だ」
幼いうちは愛されてる自覚がついて嬉しいだろうけど、お年頃になると恥ずかしいかもね・・・。
「妹とかもいたら多分溺愛しちゃってたからさ」
「1人っ子だもんね全員。妹もいたら彼氏選定しちゃう?」
「当たり前。・・・まぁ、今は桃祢がそのポジションにいるからさ」
カップル否定をするこの動画で、緋雁は何回も私のことをを妹的存在だという。
嬉しい。嬉しいんだけど・・・何故か、少し複雑だなって思っちゃう。
最近はこんな風に、自分が自分をよくわからなくなることがあるんだけど、それは私が成長してるってことにしていいのかな?
「ひか兄~」
「ひかひか気に入ってるの?」
「適当に言ったら案外かわいかった」
「適当はやめろよ」
呆れたように目を細める緋雁に笑みを返すと、『こいつめ~』と言わんばかりに、口にお肉を突っ込まれた。