【偽】カップルですが、本当の恋を教えてください

社長たち呆然としてる・・・。
我ながらだけど、この会社にとってEcholyは結構な柱だもんね。
「どこ行くの?」
「他の部屋。この5人で話したいこともある」
あ・・・そっか。榎宮さんとなにも話さずに来ちゃったから。
しっかり者の珀につれられるまま廊下を歩き、榎宮さんが立ち止まった部屋に入る。
な、なにを話せばいいのかな・・・。
「よかったです、独立してくれて。これで一安心。僕はこの結果に満足しているんで」
迷っていると、察してか榎宮さんが口を開いてくれた。
謝るのは違うと思うけど、・・・ありがとう、は合ってるのかな・・・?
「ただ1つだけ、頼みがあるんです」
「・・・頼み?」
榎宮さんが私たちに頼みなんて・・・。
叶えられることなら、今までお世話になった分、もちろん受けるけど・・・。
「僕には従弟がいます。6つ下の子で、職に迷っていて・・・。もしよければ、独立後マネージャーとして雇ってやってくれませんか」
従弟?さんをマネージャーに・・・?
それはこちらこそ、願ったり叶ったりだけど。人手がないし。榎宮さんの血縁の方だったら信頼できるし。
・・・職に迷ってる、っていうのが少し気になりはするけど。
「もちろんです、その方の意思があれば・・・よろしくお願いします」
「・・・ありがとうございます。では好きなように話してください。僕は・・・」
「っあの!アドバイスも欲しいので・・・ここにいてくれませんか」
思い切ってそう言うと、榎宮さんは目をパチクリさせたあと、小さく頷いた。
ゆ、勇気出して声かけてよかった・・・。

「ファンクラブは・・・年会費の糸は10か月分は払い戻しだね。まったく新しいものじゃなくて、移行って形がベストかな」
「休止中は?動画はアップする?配信は?」
「できるだけファンに寂しい思いはさせたくないし、するかな。休止期間が公式ページとかは作っちゃおう」
独立した後どうするんだとか、会社にいたほうが安全ではあるんじゃないかとか、考えることはたくさんある。
でも、決めたからには・・・Echolyにやり方で、成功を掴むしかない。
「期間は未定・・・っと。Echolyが納得いく形になったら再開しよう」
「うん。個人事務所って感じになるけど・・・マネージャーはOKとして、サポメンだよね」
「・・・それなら、何人かいますよ。Echolyのいないこの会社は良くない方向へ傾くので、避難という形で引き抜いてはどうでしょう。希望者を集めておきます」
榎宮さんは最初は見守るだけだったけど、途中からは話し合いに参加して、独立後の未来をより現実的にしてくれた。
本当は榎宮さんも引き抜きたいけど・・・本人は望まないだろうなぁ。
彼のことだから、『最後までこの会社の面倒を見ます』なんて言いそうだ。
この会社と契約してる他のアーティストに、悪影響がないといいけど・・・。
まぁ、榎宮さんが何とかしてくれるかな。私たちはもう去る身なんだし。
「これからの活躍を祈っています」
「まだ一緒にいる時間はありますよ~」
もう別れみたいなことを言うもんだからそう言うと、榎宮さんは優しく頷いた。
・・・この人がEcholyのマネージャーでよかったなぁ。