真ん中に座る社長がそう訊いてきて、珀はチラリとこちらを見て力強く頷いた。
「単刀直入に言いますと、活動休止と契約終了についてです」
Echoly vs 会社のバトルが始まった。
♡───────────────────────♡
「・・・契約終了?なんでだい?活動休止も・・・今が一番売れているというのにか」
「『カップルデュエット』のおかげで、ですがね」
珀が無表情でそう言うと、幹部たちは顔色を変える。
会社が勝手に決めたことだもんねぇ・・・真正面から言われたら都合悪いもんねぇ・・・?
「Echolyは独立後、カップルであることを否定します。この会社の戦略で勝手に決められた、ということも公表する予定です」
「なっ・・・それは駄目だ!そもそも、『カップルデュエット』であるおかげでEcholyは売れたんだぞ!活動休止はともかく、契約終了は・・・」
「社長」
慌て始めた幹部。ついに言っちゃったね社長・・・。
珀が静かに社長を遮る中、榎宮さんは涼しい顔だ。
榎宮さん・・・私たちが独立した後、どうするんだろう・・・。
「こっちは盗撮と名誉棄損で訴えることもできるんですよ?」
「・・・っ」
榎宮さんに対してと同じこと言ってる~・・・。
本当に訴える気はないんだろうけど、チラつかせるだけで大手が駄目になる可能性はあるよね。
うちのリーダー、本当に社長とか向いてそう。
「それは脅迫だ・・・!」
・・・はぁ?脅迫?珀のしてることが?
あまり怒らないようにいつも意識してるけど、今日は・・・。
「元はといえば罪を犯したのはそちらです。僕たちはその罪を責めているだけ。ちなみにおちらは調べに調べつくし、この分野には最も強い弁護士を見つけましたよ」
珀そうなの・・・?そんなことしてるの知らなかった・・・。
表情に出さなかった(と思う)私を褒めてほしい。敵に隙を見せることになっちゃうからね。
「裁判に持ち込む気か・・・そんなことしたら音楽活動なんて・・・」
「こちらには勝ち目しかないので。あとこれ録音させてもらっています」
珀ぅ・・・その徹底ぶり、さすがリーダーだよ・・・!
録音ときいて、会社側は一瞬で口を噤んだ。遅いって。
「桃祢テンション高くない?」
「サイコパスみたいな顔してるよ」
隣からボソボソと緋雁と葛の声が聞こえ、珀が大きく息を吐く。
すっごい面倒そうな顔をしてる・・・。
「じゃあすぐに活動休止を・・・今夜ライブ配信で発表します。メディアにも通知はしておくんで。再来月で契約終了、この公式ページも消しますね。新しく作るんで。SNSも消しますけど、新しいアカウントで動画は再投稿します。手ぇ出したら訴えるんで」
早口でそう言って切り上げた珀は席を立ち、私たちと榎宮さんを連れて会議室を出た。


