月影に咲く、一輪の華

夜凪との予定を決めたあとも、星羅はスマホのカレンダーを眺めていた。

星羅「……ここなら、まだ空いてる」

夜凪「どの日?」

星羅「○日。夕方からなら大丈夫」

夜凪「じゃあ、その日にしよう」

星羅「うん!」

星羅は予定を入力する。

『夜凪♡』

星羅「よしっ」

夜凪「……ハートつけるんだ」

星羅「だって夜凪とのお出かけだもん」

夜凪「…………」

一瞬、夜凪が黙る。

星羅「どうしたの?」

夜凪「……嬉しいだけ」

星羅「ふふっ」

星羅は嬉しそうに笑った。

星夜「姉ちゃん、最近みんなとの予定入れるの楽しそうだな」

星羅「うん!」

豹牙「でも、予定詰めすぎて疲れんなよ」

星羅「大丈夫!」

來夢「昨日も同じこと言ってたよ」

星羅「あははっ」

その時、星羅がふと思いつく。

星羅「ねぇ、夜凪」

夜凪「ん?」

星羅「夕方からってことはさ」

夜凪「うん」

星羅「夕飯も一緒に食べようよ」

夜凪「……いいよ」

星羅「どこがいいかなぁ」

夜凪「星羅が行きたいところでいい」

星羅「じゃあ、私が探しておく!」

夜凪「楽しみにしてる」

星羅「うん!」

そのやり取りを見ていた豹牙が、ぼそっと呟いた。

豹牙「……夜凪、ちゃっかりしてんな」

來夢「何が?」

豹牙「夕方から飯までセットにしてる」

夜凪「……別に」

豹牙「絶対狙ってるだろ」

夜凪「…………」

星羅「?」

夜凪「……星羅とゆっくり過ごしたいだけ」

豹牙「…………」

來夢「…………」

朔夜「…………」

黒羽「…………」

星夜「…………」

夜凪は淡々と言っただけだった。

けれど、その言葉には迷いがなかった。

星羅も嬉しそうに笑う。

星羅「私も!」

夜凪「……うん」

その瞬間。

夜凪の口元が、ほんの少しだけ緩んだ。

星羅「楽しみだね」

夜凪「楽しみ」

二人が笑い合う。

それを見ていた月影のメンバーは、なんとも言えない顔になる。

豹牙「……みんな、ちゃんと本気なんだな」

來夢「うん」

朔夜「星羅ちゃんが誰を一番にするかは、まだ分からないけどね」

黒羽「…………」

星夜「姉ちゃんは、今は何も考えてないと思うけど」

豹牙「それが一番厄介なんだよ」

星羅「何が?」

豹牙「何でもねぇ」

星羅は首を傾げながら笑う。

そしてまたスマホを見る。

遥愛との遊園地。

月影のみんなとの予定。

朱雀のみんなとの予定。

夜凪との夕方のお出かけ。

そして――みんなでのバーベキュー。

星羅「……今年の夏、いっぱい遊べるね」

星夜「本当に楽しそうだな」

星羅「うん!」

その笑顔を見ながら、夜凪は静かに思う。

――自分と過ごす日も。

この笑顔が見られたらいい。

そして、星羅の夏休みはまだまだ続いていく。