月影に咲く、一輪の華

月影の倉庫へ戻ると、星羅は玄関を入ったところで大きく伸びをした。

星羅「ただいまぁ!」

星夜「おかえり」

星羅「今日も楽しかったぁ」

星夜「朱雀に行って、パンケーキ食べて、遥愛とずっとくっついてたもんな」

星羅「うん!」

星羅は嬉しそうに笑いながら、ソファーへ腰を下ろす。

すると、すぐにスマホを取り出した。

星羅「……この前の写真見よ」

豹牙「また?」

星羅「うん!」

來夢「そんなに気に入ってるんだ」

星羅「だって、はるちゃんが撮ってくれた写真だもん」

星羅は画面を眺めながら、にこにこと笑っている。

星羅「これ好き」

星夜「どれ?」

星羅「これ。浴衣で振り返ってるやつ」

星羅が見せる。

星夜「……確かにいい写真だな」

星羅「でしょ?」

豹牙「…………」

豹牙は横からちらっと覗く。

豹牙「……それ、遥愛が撮ったんだよな?」

星羅「うん!」

豹牙「……ふーん」

星羅「どうしたの?」

豹牙「何でもねぇ」

星羅「変なの」

星羅は気にせず、また写真へ視線を戻す。

その時――。

星羅「そうだ!」

突然顔を上げる。

來夢「どうしたの?」

星羅「明日って、誰との予定だっけ?」

星夜「……カレンダー見れば?」

星羅「あ、そうだった」

スマホを開く。

星羅「えーっと……」

指で予定を確認していく。

星羅「明日は……」

少し間を置いて。

星羅「…………空いてる!」

豹牙「また?」

星羅「うん!」

星羅は嬉しそうに笑った。

星羅「じゃあ明日、何しようかなぁ」

夜凪「……ゆっくり休んだら?」

星羅「それもいいけど……」

星羅は少し考える。

星羅「せっかく夏休みだし、どこか行きたい」

星夜「昨日も今日も出かけてるだろ」

星羅「でも楽しいんだもん」

星夜「まぁ、そうだな」

星羅はカレンダーを眺める。

まだ予定のない日がいくつかある。

その中には――。

みんなとの約束も。

遥愛との遊園地も。

そして、これから増えるかもしれない予定もある。

星羅「……今年の夏休み、いっぱい思い出できそう」

朔夜「うん」

黒羽「……そうだな」

來夢「楽しみだね」

星羅「うん!」

星羅は満面の笑みを浮かべた。

その笑顔を見て、月影のメンバーも自然と笑う。

――けれど。

豹牙「……明日は空いてるなら」

星羅「ん?」

豹牙「俺らと遊ぶ前に、ちゃんと休めよ」

星羅「えー?」

豹牙「連日遊びすぎだろ」

星羅「大丈夫だよ!」

星夜「姉ちゃん、怪我明けなんだから無理すんなよ」

星羅「…………」

少しだけ考えて。

星羅「……分かった」

星夜「よし」

星羅「でも明後日は遊ぶ!」

星夜「はいはい」

星羅「あははっ」

倉庫の中に笑い声が響く。

まだまだ続く、長い夏休み。

そして――。

星羅を待っている予定は、これからさらに増えていく。