月影に咲く、一輪の華

星羅「じゃあさ、星夜」

星夜「ん?」

星羅「今決めちゃおうよ。二人でどこ行くか!」

星夜「今?」

星羅「うん!」

星羅はスマホを取り出して、メモを開く。

星羅「ほら、忘れないように書いとこ」

星夜「そこまでする?」

星羅「する!」

星羅「まず買い物!」

星夜「決定」

星羅「そのあとカフェ!」

星夜「決定」

星羅「それから……」

星羅は少し考えて、星夜を見る。

星羅「夜まで一緒にいたい」

星夜「…………」

星羅「せっかく二人で出かけるんだもん」

星夜「……じゃあ、夕飯も食べて帰る?」

星羅「いいね!」

星夜「何食べたい?」

星羅「んー……星夜が食べたいもの!」

星夜「俺?」

星羅「うん。いつも私の行きたいところばっかりだから」

星夜は少しだけ目を細めた。

星夜「……じゃあ、焼肉」

星羅「いい!」

星夜「即答じゃん」

星羅「あははっ」

星羅は楽しそうにメモへ書き込んでいく。

星夜と夏休みデート♡

星夜「……ちょっと待て」

星羅「ん?」

星夜「何そのタイトル」

星羅「いいじゃん。分かりやすいし」

星夜「『姉弟』って入れろよ」

星羅「えー?」

星夜「絶対変な誤解される」

星羅「誰に?」

星夜「…………」

星夜は答えられず、ため息をついた。

その様子を見ていた豹牙たちが、また小さく笑う。

豹牙「星夜も大変だな」

星夜「聞こえてるからな」

來夢「でも、なんだかんだ嬉しそう」

星夜「……まぁ」

朔夜「素直になったな」

星夜「うるさい」

そう言いながらも、以前ほど尖った言い方ではない。

星羅はそんな星夜を見て、また嬉しそうに笑った。

星羅「星夜」

星夜「ん?」

星羅「楽しみだね」

星夜「……うん」

星羅「いっぱい写真撮ろう!」

星夜「また?」

星羅「うん。今度は二人の写真いっぱい!」

星夜「……姉ちゃん、写真好きになったな」

星羅「だって思い出になるもん」

星夜「じゃあ、いっぱい撮るか」

星羅「やったぁ!」

星羅は嬉しそうに星夜の腕に抱きつく。

その光景を見ながら、月影のメンバーはそれぞれ何とも言えない顔をしていた。

豹牙「……俺も星羅と二人で写真撮りてぇ」

來夢「俺も」

朔夜「俺もだな」

黒羽「……同じく」

夜凪「…………」

豹牙「夜凪は?」

夜凪「……俺も」

紅蓮がいない今、誰も茶化す人はいない。

だからこそ、全員の本音がそのまま漏れていた。

豹牙「……夏休み、絶対誘うぞ」

來夢「うん」

朔夜「負けたくないな」

黒羽「…………」

夜凪「…………」

そして星羅は、そんな彼らの視線にも気づかないまま――。

星羅「星夜、次はカフェで何食べようか!」

星夜「また甘いもの?」

星羅「うん!」

星夜「……好きだなぁ」

星羅「あははっ」

月影の倉庫に、二人の楽しそうな笑い声が響く。

遥愛との次の約束は、まだ返事待ち。

星夜とのデートは、少しずつ形になっていく。

そして――。

月影のメンバーも、それぞれ星羅との「二人の時間」を考え始めていた。