月影に咲く、一輪の華

星夜「大丈夫か!?」

星羅「うん……大丈夫」

星夜「絶対嘘だろ」

星羅「……ちょっと痛いけど」

星夜「ちょっとじゃねぇよ……!」

星羅はそんな星夜を見て、弱々しく笑った。

星羅「でも、星夜が無事だから」

星夜「…………」

また泣きそうになる。

星夜「……もう、それ言うなよ」

星羅「え?」

星夜「姉ちゃんが自分より俺を優先するの……もう嫌なんだよ」

星羅「…………」

星夜「俺だって姉ちゃんを守りたい」

星羅「……うん」

その会話を聞いていた豹牙が、そっと息を吐いた。

豹牙「……ほんと、似た者姉弟だな」

來夢「どっちも自分より相手を優先する」

朔夜「だからこそ、これからは周りが支えないとな」

夜凪「…………ああ」

夜凪は星羅の背中を見る。

傷。

血。

そして、赤く腫れた手首。

夜凪「……まず治療だ」

星羅「でも……」

夜凪「反論禁止」

星羅「…………」

珍しく強い口調に、星羅は大人しく頷いた。

星羅「……分かった」

すると――。

紅蓮「星羅」

星羅「……?」

紅蓮が近づいてくる。

星羅「紅蓮……ありがとう」

紅蓮「礼なんかいらねぇよ」

星羅「でも……」

紅蓮「俺が勝手にやっただけだ」

そう言いながら、紅蓮は星羅の傷を見る。

紅蓮「……痛ぇだろ」

星羅「……ちょっと」

紅蓮「強がんな」

星羅「…………」

紅蓮は小さく笑った。

紅蓮「まぁ……」

星羅を見る。

紅蓮「そういうところが、気に入ったんだけどな」

豹牙「…………」

來夢「…………」

朔夜「…………」

瑛翔「…………」

一瞬、空気が止まった。

豹牙「おい」

瑛翔「紅蓮?」

紅蓮「何だよ」

豹牙「お前……」

紅蓮「何?」

豹牙「……いや、何でもねぇ」

紅蓮は楽しそうに笑う。

そして星羅を見る。

紅蓮「また会おうぜ、星羅」

星羅「うん」

紅蓮「今度は――」

少しだけ目を細める。

紅蓮「敵じゃない場所でな」

星羅「……ふふ。そうだね」

その笑顔を見た紅蓮は、一瞬だけ黙った。

――やっぱり最初に見た時よりずっと気になる。

紅蓮「……じゃあな」

そう言って背を向ける。