月影に咲く、一輪の華


紅蓮「一気に片付けるぞ」

黒羽「ああ」

二人の声が重なった瞬間――。

ドッ!!

月影と朱雀が、一斉に駆け出した。

豹牙「うおおおっ!!」

目の前の敵へ飛び込み、拳を振り抜く。

ドゴッ!!

一人を倒した直後、横から別の男が襲いかかる。

豹牙「――っ!」

拳を受け止め、その腕を捻り上げる。

バキッ!

豹牙「どけぇ!!」

そのまま身体ごと投げ飛ばした。

來夢「右!」

豹牙「任せろ!」

來夢が蹴り飛ばした敵を、豹牙が追撃する。

その横では、朔夜が冷静に敵の動きを見極めていた。

朔夜「……三人、来る」

黒羽「俺が二人取る」

朔夜「なら一人は俺が」

二人が同時に踏み込む。

ドガッ!!

バキッ!!

敵が次々と床へ倒れていく。

一方、朱雀も負けてはいなかった。

瑛翔「こっち来いよ!」

軽い笑みを浮かべながら敵の拳を避ける。

瑛翔「遅いって」

ドッ!

腹へ拳。

続けて足を払う。

敵が倒れたところへ、瑛翔が見下ろす。

瑛翔「星羅ちゃんに手ぇ出した分、ちゃんと返してもらうから」

刹那「…………」

刹那は無言で二人の間へ入り込む。

相手の攻撃をかわし、最小限の動きで次々と倒していく。

紅蓮「刹那、左!」

刹那「分かってる」

紅蓮「さすが」

紅蓮も笑いながら、目の前の敵を壁へ叩きつける。

ドンッ!!

紅蓮「――朱雀を舐めんなよ」

そして朧。

朧はほとんど喋らない。

ただ、襲ってくる敵を一人ずつ確実に倒していく。

ドゴッ。

バキッ。

最後の一人が床へ倒れる。

朧「…………」

静かに星羅へ視線を向ける。

星羅はまだ背中を押さえながら、星夜のそばにいる。

星羅「……みんな……」

その姿を見て、朧の目が僅かに細くなった。

――守らなければ。

そんな意思が、言葉にせずとも伝わってくる。

そして――夜凪と犯人の戦いだけが、まだ続いていた。

夜凪「……っ!」

男の拳を腕で受け止める。

ドッ!!

夜凪「……重いな」

男「君もなかなかやるね」

夜凪「黙れ」

拳を振り抜く。

男は避ける。

そのままナイフを取り出した。

星羅「……夜凪!!」

夜凪「……!」

刃が迫り夜凪は身体を捻ってかわす。

男「惜しい」

夜凪「……お前」

男「何?」

夜凪「まだ星羅を狙うつもりか」

男「当然」

男は笑う。

男「俺は星羅ちゃんを諦めない」

夜凪「…………」

男「何年待ったと思ってる?」

夜凪「知らねぇよ」

男「星羅ちゃんは俺の――」

夜凪「だから違う」

夜凪が一歩踏み込む。

夜凪「星羅は誰のものでもねぇ」

男「…………」

夜凪「本人が決めることだ」

その言葉に、男の顔から笑みが消えた。

男「……なら」

ナイフを握り直す。

男「星羅ちゃんが自分で俺を選ぶようにすればいい」

星羅「…………」

男「そのためなら――」

男の視線が、星羅へ向く。

男「何人傷つけても構わない。」

星羅「……っ」

夜凪「……そうか」

夜凪の目が冷たくなる。

夜凪「だったら――」

拳を握る。

夜凪「もう、お前に星羅を見せることすらしねぇ」

その瞬間後ろから紅蓮の声が響いた。

紅蓮「夜凪!」

夜凪「……!」

紅蓮「そいつ、俺に任せろ」

夜凪「……紅蓮?」

紅蓮「総長として――」

紅蓮が男の前へ歩み出る。

紅蓮「こいつには、落とし前つけてもらわねぇとな。」

男「…………」

紅蓮と男。

二人の視線が真正面からぶつかった。