月影に咲く、一輪の華


豹牙「星羅」

星羅「……ん?」

豹牙「俺らのこと心配してるだろ?」

星羅「……当たり前でしょ」

豹牙「だったら安心しろ」

星羅「…………」

豹牙「俺ら、お前一人置いて逃げるほど薄情じゃねぇから」

來夢「そうそう」

朔夜「むしろ、ここまで来た以上最後まで付き合う」

黒羽「星羅」

星羅「……うん」

黒羽「お前が何を選んでも、俺たちは勝手に動く」

星羅「…………」

黒羽「だから、お前が責任を感じる必要はない」

星羅の目に、涙が浮かぶ。

星羅「……みんな……」

夜凪「星羅」

星羅「……夜凪?」

夜凪は、星羅の前にしゃがむ。

そして、血の滲んだ手首を見る。

夜凪「……これ以上、自分を傷つけるな」

星羅「…………」

夜凪「お前が自分を傷つけてまで誰かを守ろうとするたびに、俺たちは何もできなくなる」

星羅「……ごめん」

夜凪「だから謝るな」

星羅「…………」

夜凪「今度は――」

夜凪が立ち上がる。

星羅の前に背を向けて立つ。

夜凪「俺たちに守らせろ」

星羅「…………」

その言葉に、星羅の涙が一粒落ちた。

男「…………」

その光景を見ていた男の表情が、少しずつ歪んでいく。

男「……気に入らないな」

紅蓮「何がだ」

男「星羅ちゃんが――」

男の視線が、星羅へ向く。

男「俺以外の人間を信じてることが」

男が再びナイフを握り直した。

男「……だったら」

星羅「……っ」

男「その信頼、全部壊してあげるよ」

そして――廃工場の奥から、さらに複数の男たちが姿を現した。

黒羽「……まだいやがったのか」

豹牙「何人いるんだよ……!」

紅蓮「……上等だ」

男たちが一斉に構える。

紅蓮「月影」

黒羽「朱雀」

二人が並んだ。

紅蓮「一気に片付けるぞ」

黒羽「ああ」

そして――月影と朱雀が、再び一斉に敵へ飛び込んだ。