月影に咲く、一輪の華

星羅「……みんなを巻き込みたくない」

黒羽「……何言ってる」

星羅「だって、手紙には私だけを迎えに行くって書いてある」

星夜「姉ちゃん」

星羅「だから……」

一瞬、言葉を止める。

星羅「私一人なら、みんなが傷つかなくて済む」

その瞬間――。

夜凪「ふざけんな」

低い声が落ちた。

星羅「……夜凪?」

夜凪「お前、また一人で全部背負う気か」

星羅「…………」

夜凪「昨日、何があったか忘れたのか」

星羅「……忘れてない」

夜凪「なら分かるだろ」

夜凪が星羅を見る。

その綺麗な顔から、いつもの無関心さが消えていた。

夜凪「一人で行ったら、あいつの思い通りだ」

星羅「…………」

夜凪「それに――」

一歩、星羅へ近づく。

夜凪「俺たちは、巻き込まれたんじゃねぇ」

星羅「……?」

夜凪「自分たちでここにいる」

その言葉に、星羅が目を見開く。

豹牙「そういうこと」

豹牙も続く。

豹牙「昨日、あんな星羅見た後で、一人で行かせると思うか?」

來夢「絶対無理」

朔夜「むしろ、今まで一人で抱えていたことの方が問題だ」

黒羽「……星羅」

黒羽が真正面から向き合う。

黒羽「お前が守りたいものが星夜なら、俺たちにも守りたいものがある」

星羅「…………」

黒羽「お前だ」

その一言に、星羅の胸が大きく揺れた。

星夜「……姉ちゃん」

星羅「……星夜」

星夜「俺も行く」

星羅「駄目」

即答。

星夜「……!」

星羅「これは私の問題だから」

星夜「違う」

星羅「でも――」

星夜「俺の問題でもある」

星羅「…………」

星夜は真っ直ぐ星羅を見る。

星夜「俺もあの日のこと、ずっと忘れてねぇ」

星羅「……」

星夜「怖い」