月影に咲く、一輪の華

紅蓮が建物の外へ出る。

その姿を見つけた瞬間、黒羽が一歩前へ出た。

黒羽「……星羅を返せ」

紅蓮「そう怖ぇ顔すんなって」

黒羽「ふざけるな。人を騙して連れてきたのはお前だろ」

紅蓮「それは悪かった」

黒羽「……」

あまりにもあっさり認められて、黒羽が一瞬言葉を失う。

紅蓮「でも、星羅には何もしてねぇよ」

星夜「……それでも連れてきたことには変わりねぇ」

紅蓮「弟くんは本当に姉ちゃんのことになると怖ぇな」

星夜「お前に関係ねぇ」

紅蓮「まあな」

紅蓮は肩をすくめる。

その時、建物の中から星羅が顔を出した。

星羅「紅蓮」

紅蓮「……お前、出てくんなって」

星羅「だって……」

その声に、星夜がすぐに振り返る。

星夜「姉ちゃん!」

星羅「星夜!」

星夜が駆け寄ろうとする。

けれど、その前に紅蓮が一歩だけ立った。

星夜「……どけ」

紅蓮「落ち着けって」

星夜「姉ちゃんを返せ」

紅蓮「返すよ」

星夜「……え?」

紅蓮「約束したからな」

星羅「……!」

紅蓮は振り返り、星羅を見る。