桜が咲いたら、必ず君に会いにいく

 ハルと初めて出会ったのは、今から十年前。

 昔、近所のちんちくりん共が、こいつに絡んでいたから、オレが助けてやったのだ。

「お前、いつ帰ってきたんだ?」
「つい最近だよ。お母さんの職場が移転になって」
「そうだったのか」

 オレが小学校に上がる前、ハルは母の転勤で、突然、引っ越してしまった。

 あの頃は、まだスマホなんて持っていなかったし、お互い連絡もできないまま、こうして十年の時が経った……というわけだ。
 
「僕のこと、覚えててくれてた?」
「そりゃもちろん。……今、思い出したところだ!」
「じゃあ、昨日までは忘れてたんだね!?」
「す、すまん……オレも人生、色々あったもんで」
「色々って。まだ十六年しか生きてないでしょ、僕達」
「オレにとっては、こってりすぎる十六年間だったんだよ」
 
 例えば、小学校の修学旅行。
 各クラスの精鋭を集って枕投げ大会を開催したら、見回りに来た担任に見つかって、朝までお説教を食らったこととか……。
 
 思い返せば、笑いと涙に尽きない思い出ばかりだ。

「おうくんのそういうところ、変わってなくてよかった」
 
 少しくせっ毛な前髪をいじりながら、ハルは安心したように笑った。