「ねぇねぇ、君!」
「ぼ、僕……ですか?」
放課後、駅の中をうろついていると、オレは逆ナン現場というやつに遭遇した。
「よかったら、今から一緒にお茶しない? お菓子とか、ジュースとか、おねえさん達が奢ってあげるヨォ〜」
「け、結構です……」
「ちょっとあけみん、いきなりぐいぐい責め過ぎ〜。イケメンくん、困ってんじゃん」
「まぁ、明美は、面食いだもんねぇ」
困っているというより、あれは怖がっているのでは。
ケバい見た目の女性陣3人組に囲まれ、少年はうろたえている。
小柄な体型にダボっとした紫のパーカーを着て、ズボンの裾をまくっている。
中学生くらいだろうか。華奢な後ろ姿は頼りなく、顔を見ずとも「こいつはショタだろう」と、瞬時に分別がついた。
対して、相手の女性陣は、オレより少し年上、女子大生といったところだろうか。
髪をぐるぐる巻きにして、メイクもゴテゴテ。 まるで、おしゃれに失敗した時のおふくろのようだ。
「あ、あの、僕、用事があるので……!」
「えぇ~、ノリ悪いー。ちょっとくらい付き合ってよ〜」
「ごめんねぇ、イケメンくん。こうなると、あけみん、聞き分けが悪くてさぁ」
参ったな。
これではオレが通れん。
女子大生3人組は、駅の出入り口付近にたむろして、進路を妨害している。
オレに与えられた選択肢は2つ。
速やかに別の脱出ルートを探すか、見て見ぬ振りで少年とギャル達の横を素通りする。
だが、しかし!
あえて、オレは第3の選択肢を選ぶ。
どんな時も、いばらの道を臆せずに突き進むのが、正義のヒーローってもんだ。
「セニョリータッ!!」
「えっ……なになに!?」
「あ、あたし達のこと?」
「なんか、変な人来ちゃったよぉ!?」
手を上げ、3人組に接近する。
すると、近くにいた野次馬どもが、なんだなんだと怖いもの見たさにわらわらと集まってきた。
オレはまだ挨拶しかしていないというのに。
なんてしつけがなってない馬達だ。
ここは見世物小屋でも、サーカス会場でもないんだぞ。
「ねぇねぇ、あの人、なんかヤバいよォ。逃げた方がいいんじゃない?」
「うんうん……絶対、後で面倒なことになる」
「えぇ〜、気分ガタ落ち〜。あたし、今日の占い、恋愛運1位だったんだけどなぁ」
ふっ!
オレに恐れを成して、トンズラこいたか。
厚化粧もピアスもマニキュアも、しょせんは飾り物。
いくら装備が多かろうと、有効利用できなければ、全部ただのお荷物だ。
「無事か、少年!」
声をかけると、少年の肩がビクッと震えた。
少年が、ゆっくりと振り返る。
なるほど……そうきたか。
男にしては少し長めの髪。
全体的にダボっとしたラインの服は、小柄な少年の体型に明らかに合っていない。
ひょっとしたら、背伸びをしたいお年頃なのかもしれない。
だとしたら、見かけずよらず、ませたぼっちゃんだ。
だが、顔は間違いなくイケメンに入る分類。
ただ、かっこいいというより可愛い—–あ、いや……綺麗という表現がぴったりな美少年と見受けした。
「もしかして、おうくん……?」
「ほへ?」
思わず、少年の顔を二度見する。
待てよ、こいつ、どこかで……。
「ハル?」
「嘘……おうくんだ」
記憶のジェットコースターが急降下して、およそ十年前に聞いた名前にぶち当たる。
なにより、オレをおうくんと呼ぶのは、一人しかいない。
「十年ぶりに会うダチに対して、それはねぇだろ、お前」
「ち、違うよ!」
ハルは両手をめいっぱい振りかざす。
元の高い声に、さらにシャープがかかっていた。
「ぼ、僕……ですか?」
放課後、駅の中をうろついていると、オレは逆ナン現場というやつに遭遇した。
「よかったら、今から一緒にお茶しない? お菓子とか、ジュースとか、おねえさん達が奢ってあげるヨォ〜」
「け、結構です……」
「ちょっとあけみん、いきなりぐいぐい責め過ぎ〜。イケメンくん、困ってんじゃん」
「まぁ、明美は、面食いだもんねぇ」
困っているというより、あれは怖がっているのでは。
ケバい見た目の女性陣3人組に囲まれ、少年はうろたえている。
小柄な体型にダボっとした紫のパーカーを着て、ズボンの裾をまくっている。
中学生くらいだろうか。華奢な後ろ姿は頼りなく、顔を見ずとも「こいつはショタだろう」と、瞬時に分別がついた。
対して、相手の女性陣は、オレより少し年上、女子大生といったところだろうか。
髪をぐるぐる巻きにして、メイクもゴテゴテ。 まるで、おしゃれに失敗した時のおふくろのようだ。
「あ、あの、僕、用事があるので……!」
「えぇ~、ノリ悪いー。ちょっとくらい付き合ってよ〜」
「ごめんねぇ、イケメンくん。こうなると、あけみん、聞き分けが悪くてさぁ」
参ったな。
これではオレが通れん。
女子大生3人組は、駅の出入り口付近にたむろして、進路を妨害している。
オレに与えられた選択肢は2つ。
速やかに別の脱出ルートを探すか、見て見ぬ振りで少年とギャル達の横を素通りする。
だが、しかし!
あえて、オレは第3の選択肢を選ぶ。
どんな時も、いばらの道を臆せずに突き進むのが、正義のヒーローってもんだ。
「セニョリータッ!!」
「えっ……なになに!?」
「あ、あたし達のこと?」
「なんか、変な人来ちゃったよぉ!?」
手を上げ、3人組に接近する。
すると、近くにいた野次馬どもが、なんだなんだと怖いもの見たさにわらわらと集まってきた。
オレはまだ挨拶しかしていないというのに。
なんてしつけがなってない馬達だ。
ここは見世物小屋でも、サーカス会場でもないんだぞ。
「ねぇねぇ、あの人、なんかヤバいよォ。逃げた方がいいんじゃない?」
「うんうん……絶対、後で面倒なことになる」
「えぇ〜、気分ガタ落ち〜。あたし、今日の占い、恋愛運1位だったんだけどなぁ」
ふっ!
オレに恐れを成して、トンズラこいたか。
厚化粧もピアスもマニキュアも、しょせんは飾り物。
いくら装備が多かろうと、有効利用できなければ、全部ただのお荷物だ。
「無事か、少年!」
声をかけると、少年の肩がビクッと震えた。
少年が、ゆっくりと振り返る。
なるほど……そうきたか。
男にしては少し長めの髪。
全体的にダボっとしたラインの服は、小柄な少年の体型に明らかに合っていない。
ひょっとしたら、背伸びをしたいお年頃なのかもしれない。
だとしたら、見かけずよらず、ませたぼっちゃんだ。
だが、顔は間違いなくイケメンに入る分類。
ただ、かっこいいというより可愛い—–あ、いや……綺麗という表現がぴったりな美少年と見受けした。
「もしかして、おうくん……?」
「ほへ?」
思わず、少年の顔を二度見する。
待てよ、こいつ、どこかで……。
「ハル?」
「嘘……おうくんだ」
記憶のジェットコースターが急降下して、およそ十年前に聞いた名前にぶち当たる。
なにより、オレをおうくんと呼ぶのは、一人しかいない。
「十年ぶりに会うダチに対して、それはねぇだろ、お前」
「ち、違うよ!」
ハルは両手をめいっぱい振りかざす。
元の高い声に、さらにシャープがかかっていた。


