桜が咲いたら、必ず君に会いにいく

放課後、オレは放送室にいた。

 もう一度、教室の中を確認する。

 音響良し、台本良し、天気良し。
 後は、マイクのスイッチを押すだけだ。

 いざ血戦(けっせん)の火蓋が切られようとしたその時、マイクに添えた指が震えた。

 ぎゅっとこぶしを握る。
 震えが収まるように、一点に力をこめた。
 
 大丈夫だ、桜雅。
 お前なら、きっとできる。

 恐れをなすなんて、オレらしくないじゃないか。自分を信じろ。

 深く息を吸いこんで、マイクを持ち直した。

「あ、ああー」

 自分の声が反響して、スピーカーから聞こえてくる。

 音量は特に問題なし。雑音(ノイズ)も入っていない。

 ——さぁ、今こそ時は満ちた。

 小学生時代、放送室のDJと呼ばれたオレの実力を見せてやろうじゃないか!
 「どうもー、みなさん、こんにちは! 1年3組の黒崎桜雅です」

 滑り出しは順調。

 何も難しいことなんてない。
 すべて、オレのシナリオ通り進めるだけだ。

「えぇ、2年1組の美澄紗雪先輩。大至急、屋上に来てください。伝えたいことがあります!」

 カチッと、マイクの電源を切る。

「はぁ〜、緊張したぁ!」

 天井に向かって、大きく伸びをした。

 ここからフルスロットルでいくぞ!

 ——っと、その前に。