【電子書籍化記念SS】あなたの傷痕にキスを〜有能なホテル支配人は彼女とベビーを囲い込む〜

 二人揃った休みの日。
 昨晩も慎吾に熱く甘く貪られたので、里穂はベッドの中でぐっすり眠っていた。

「里穂。そろそろ起きないか?」

 起こされたのは珍しく、朝八時。
 抱き潰した自覚があるのだろう、起こしてくれる時間はたいてい昼前なので、里穂は目を擦りながら珍しいと思った。

「里穂、これに着替えてくれないか」

 起こしながら渡されたのは、学校の制服だった。

「……これ、どうしたの?」

 しばらく眺めてから、質問を口にした。

「ん? ホームカミングデー」

 要領を得ない。

「悪いけど、今日は寝かせてあげられない」

 昨晩と同じセリフを囁かれ、里穂はぽぽっと頬を染めた。
 けれど、珍しく慎吾に急き立てられる。

 時間がずらせないイベントなのだろう。
 テーブルにはすでに食事中の息子と、大人二人分の食事が用意されている。

「あっちついたら屋台が出ているから、今は軽くな」

 ますますわからない。

 けれど、大好きな人の双眸が愉快そうな光を宿してキラキラしている。

 こういうときは、びっくり箱みたいなサプライズを用事してくれているのだと、里穂は学習している。
 ……そして、ますます自分を幸せにしてくれるのだとも。

 里穂はおとなしく食事を済ませた。

 歯を磨きながら、里穂は中学の頃の記憶を辿る。
 早い子はリップや眉、マニュキュアを塗っていた気がする。

「けひょう(化粧)、ふるのはな(するのかな)……?」