「入夏。ちょっと良いか?」
都鳥くんに話し掛けられるのは珍しい。
「どうしたの?」
泉宮くんと学食で食べてると思ったから、驚いた。
教室に泉宮くんの姿はなかった。
「葵の機嫌が過去最高に悪い。何か心当たりはないか?」
一時間目から四時間目の授業を受けて、何かあったのかな。
それとも、家とか?塾とか?
都鳥くんは心配、してるのだろうか。
「都鳥、お母さんみたい。」
世話焼きで過保護のと付け足して、お弁当のおかず食べる彩ちゃんは、楽しげだった。
秋が深めいて本格的に寒くなって来たので、教室で食べていた。
「やめろ。」
鳥肌が立つ、と都鳥くんは腕を擦った。
泉宮くんは学食で椎奈さんを含め、女子三人と食べてるのかな。
「私は心当たり、ないけど。」
「入夏となんかあったんだと思ったんだが、当てが外れたか……。」
ふと、昨日の事かと、思い至る。
「泉宮くん、カラオケに誘って欲しかったみたい。」
「カラオケ?」
都鳥くんは首を傾げた。
「あぁ……。真緒と初めて行った次の日に、泉宮にカラオケ行った事あるか聞いた。アイツも行った事、無さそうだったから。」
彩ちゃんは納得がいったのか、そう話した。
「……拗ねてんのか。で、何歌ったんだ?」
「歌ってない。」
「は?」
「ドリンクバーと、食パンを一斤使ったデザートを食べたよ。」
「一曲も?」
「うん。」
都鳥くんの表情から頭に、クエスチョンマークが浮かんだのが分かった。
「カラオケに何しに行ったんだ?飲み食いするだけなら、割高だろ。部屋代が無駄になる。」
と言われた。
行ってみたかったという、私と彩ちゃんの感覚は、分からないみたいだった。



