泉宮くんの恋人になるには


中間テストが終わった。

思ったよりは、出来た……。


“俺の部屋、気になるなら一人で遊びに来てよ。そしたら、見せてあげる。”

あの発言で心を乱された。

……元気がなかったから、励まそうとしたんだとしても、やり過ぎじゃないだろうか。


中間テストが終わり席替えをした。

私は真ん中の列の前から二番目。

彩ちゃんは窓際の席の前から三番目。

泉宮くんは廊下側の一番後ろだった。

都鳥くんは廊下側の前から二番目に。


泉宮くんの隣が、仲が良い女子の一人で名前は確か、……椎奈さん。

カラオケに誘ってた中の一人……。


これまでの人生、一度もカラオケに行った事がないから、今度、彩ちゃんと行ってみようかな。

彩ちゃんも、行った事ないと思う。


……あ。海宝先輩だ。

授業の合間にトイレに行って、教室に戻ろうとしてると、渡り廊下を歩く姿を見掛けた。

海宝先輩は風紀委員で、文化祭の時に助けて頂いた。

彩ちゃんに無礼を働く男達に、怒りから両手に持つクレープを、顔面に投げ付けてやろうかと思ったが、踏み止まった。

食べ物を粗末にするなって、精神と、彩ちゃんが動物の顔を描くとか、アイデアを出して作ったクレープを台無しにするのは憚れた。


先輩に話し掛けるのは勇気がいるが、お礼をきちんと伝えられてなかった。


「海宝先輩!」

呼び止めた。

「先日はありがとうございました。とても助かりました。」

女である私には、あの場を収める事は出来なかった。

逆上されて暴力を振るわれたら。

力では敵わないのだ。

肩を押されて、転びそうになったが支えてもらった。


海宝先輩は少し考える仕草をして、合点がいったのか、

「文化祭の日に会った、無謀な方ですね。」

と言った。

「……入夏です。」

その覚え方はやめて欲しい。


「入夏さんですか。記憶しました。礼は不要です。風紀委員の責務ですから。」

校内の風紀を取り締まるのが、風紀委員。


「私は感謝してるので、礼を述べたまでです。」

ありがとうございました。と改めて頭を下げた。


次の授業が始まるので、急いで教室に戻ると泉宮くんと椎奈さんが、楽しそうに話していた。

……椎奈さんは美人。

髪を綺麗に巻いていて、化粧をしてる。

唇にはグロスなのか、艶がある。


日焼け止めにリップクリームの私と違って、大人っぽくて色気があった。


泉宮くんは椎奈さんみたいに、綺麗系な人が好みなのかな……。

そんな事を考えてると、次の担当教科の先生が入って来て、慌てて自分の席に着いた。