魔法がなくても



入学がバラバラ、卒業もバラバラ。
誰がどう、なんていちいち覚えてられないから先輩呼びなんかしたこともされたこともない。


「じゃあ……それで」


おたがいの呼び方が決まったところで一度座り、気になっていたことを聞いてみた。


「今日は?どうだった一日」

「ああ……それが、追いかけられることなく平和で……相変わらずテストは受けられない日々続きですけ……だったけど、はじめて落ち着いて過ごせたと思う」

「それなら良かった」


返事をしながら、ご機嫌ななめな二人をつかまえて膝上と肩に乗せればうなり声もつららも消え『それでいい』と言った顔をしている。


「あ、あとこの間貸してもらったこれはどうすれば?」


道案内用に渡したペンダントがテーブルへと置かれる。


「持ってていいよ。と言うより持ち歩いた方がいい」

「え?なんか持ってるとご利益とかあるの?」

「まあ……ご利益っていうか、今度は護身用としてって感じ。また追いかけられたり、歩いていてあやまって放たれた魔法や薬といったものが飛んでくることもあるから」


それはそれは日常茶飯時といっていいほどに。

だから、現状魔法が使えない宙くんの身を守るため、あらかじめペンダントには防御魔法がほどこしてある。