魔法がなくても



もともと二階は物置くらいでしかつかわなく、あまりスペースはなかったから、二階に編入生くんの部屋を増やせばいい。

温かな木造の廊下をぬけて、二階につながる階段を上がり、後ろからとことことついてくる皆の前で壁に手を置いて力を込めた。

すると、何もなかった壁にドアが現れる。

「おわっ……!?え、すごい……」

「内装はイメージでこう……」


おどろいているのをよそに部屋の中を仕上げていく。
指揮者のように手を振って、あれこれ最低限必要なものを出現させて。


「これくらいでいいかな」


十畳ほどの木目調の部屋に、ベッドとタンス、姿見に窓。
癒しのための観葉植物に小さなコンロとケトル。その上に小ぶりな棚。

仕上げにカーテンとカーペットを敷いて完成。


なんとなく、落ち着くようにと編入生の髪色、紺でカーテン等を統一してみたけれど反応は──


「綺麗すごい!なにこれ……これが魔法なん、なんですよね!?」


……大丈夫だ、気に入ってくれそう。

さっそく、と言わんばかりに中へ入ろうとする編入生。
でも私はその前に、とドアを閉めた。


ドアプレートもつけちゃおう。


【SORA】と星型のプレートをドアと同じ木で吊り下げる。