魔法がなくても



学園の敷地内とは言えど、暗くなればただの森。
月明かりの光しかなく、ホラー感ただようこの場所でよくねむれるものだ。


でもこれは……どうしたものか。


このままさようならでも様子を見て助けたのだから、問題はない。

けれど、なぜかおーさんの顔が浮かぶ。
見ぬふりはしないでくれ、と言っているようなそんな顔が。


「……はぁ」


小さく息を吐いた私は、以前おーさんのお店で買ったペンダントをポケットから取り出し、魔法をかけた。

一見普通のペンダントが光り、色が変化する。


「す、すごい……!」


編入生くんは、目をかがやかせひかえめに手をたたく。


「はいこれ。渡しておくからこのペンダントを使って行って」

「え?い、行くってどこに?」

「ちゃんとそれが道を教えてくれるから。ほら、行って」


ペンダントをさしながら伝えれば、理解があまり追いついていないのか、ぎこちなく頷かれ『わっ、光った!』とはしゃぎながら遠下がっていく背中を見送った。

……まずはテントの回収、回収。