魔法がなくても







助けた編入生──紫翠宙くん。

送ろうと思ったものの、彼は寮に入れていないと言う。


「テストを受けても何の反応も起きないから測りようがないって言われて……」

「理事長直々に声をかけたはずなのに、仮の入寮も認められてないなんて……ってことは野宿?なわけない……」

「実は……野宿、です。敷地内の森……の端っこならいいと言われておなさけでもらったふにゃふにゃのテントに仮住まい中です」


あはは……、と頭をかきながら力なく編入生くんは笑った。






それから、寮ではない森の中へと入り送り届けた。

ふにゃふにゃのテント、大げさなのかと思ったけどまさにふにゃふにゃで。

こころもとない骨組みに、穴の空いたテント。

風が吹く中でよろけながら立っているような、そんな見た目。


「これで……寝れるの?」

「それが追いかけ回されて疲れてるのか、寝れはするんです」

「そ、そうなんだ」


中々、きもっ玉がすわっている。