魔法がなくても



……けれど、魔法が使えないというその編入生はテストすらまともに受けられてないのでは?

とふと疑問がわいてしまった。


私が思ったところで、ってところもあるけども。



「だ、だからっ……」


この辺だろうか、と思っていれば息を切らした声が曲がり角の先から聞こえてきた。

ゆっくりと顔だけ出してのぞけば、一対三で逃げ場をなくした編入生の姿が。

この学園は異常な広さだから路地裏みたいなところはたくさんあって、来たばかりの編入生はすぐに追いつめられた、ってとこかな。


「理事長直々の編入なのに魔法が使えないってのはうそだろ?」

「逆に制御出来ないほどの力がありすぎてそういう噂を広めてる、とかさ」

「いい加減追い回されるのも逃げるのもやだろ?ほんとーこと言っちゃえよ」



──なるほど。

いい加減、ということはおーさんの言う通り、彼は編入してから繰り返し追いつめられては逃げて過ごしていたみたい。

理事長直々、ってところが気になるのは分かるけど……何もこんなこと──