……なぜ。
なぜ彼はこんなに平常運転でいられるの。
あの告白はまるで無かったようにいつも通りの犬井駆がいて、屈託ない笑みで和気あいあいと話しかけてくる。
これが女4人泣かせの経験値の差なのか……。
悔しいけどそのおかげで今のところ気まずくないから助かった。
ちなみに犬井駆の私服は想像通りというか彼らしいというか。
ロックバンドの洒落たプリント白Tにベージュのハーフパンツ、斜めがけのサコッシュと黒い腕時計がアクセント。
彼もメンズ向けファッション雑誌から飛び出してきたようなモデル顔負けの風貌だから、周りの人の目を惹くのもうなずける。
そのせいで私は変に緊張しているんだってことにする。
金曜日の夜にあったことは夢だったんだ。
そう、今はとにかく動物園。ここに集中。
「あっみてみて、あそこにふれあいコーナーあるみたい!行ってみよ〜」
「わっ、」
カナミが私の手を引いてスキップするから転びそうになったのを持ち直して歩幅を合わせる。
後ろから小走りでこちらを追う足音ふたつ。



