「じゃあね」
わずかに上がった口角は、あっというまに私のハートをさらっていった。
そんな初恋、芽生えた瞬間は漫画みたいな話だったけど現実はそう甘くない。
その日はもう見かけることはなく、次の日もその次の日もそれ以降ずっと彼を探したけれど、見つからなかった。
そのまま二度と会うことなく春休みがやってきて。
クラスも知らないしそもそも同学年かもわからない、もしかしたら卒業しちゃったかもしれない。
情報はハチギ、ただそれだけ。
苗字か名前かさえも不明だし、そもそも氏名なのかも微妙。
しかし新学期になって事態は大きく進展。
なんと貼り出されたクラス発表の名簿に“ハチギ”という文字が……!
「蜂技、悠里……」
同じクラス。
奇跡だ。
神様って本当にいるかもしれない。
新しい教室に入るとそこにはあの日の美少年がいて。
ちゃんと存在してたんだ……ってなぜか感動しちゃって。
うるっと涙が出ちゃって。
カナミに「大丈夫!?」っておどろかれたのは今となってはいい思い出────。



