チャラ男も笑えば雑巾に当たる


すると私の手首をつかんでいたヤンキーがはじかれたようにパッと手を離した。

と思ったら少年に近づいたヤンキーの方へ手を伸ばして止めに入る。


「ストップストップ!やめろやめろ!オメェ知らねーのか、はちぎってあのハチギだぜ」

「……え、まじ?こいつが?」

「行くぞ、ほら早くッ」

「お、おう!」


そう言ってヤンキーたちはそそくさと逃げていった。



…………え?

何いまの。どゆこと?


状況を読み込むまでに時間がかかった。

とりあえず理解できたのは、このハチギという少年がヤンキーを追い払ってくれたこと。


「あ……ありがとう、ございます……」


ぺこ、と小さくおじぎして彼を見る。
不思議と震えは止まって、恐怖も消え去って、ただぼーっと。

白い肌。黒い髪。整った顔。目線が上向く身長差。

かっこいいひと……。

思わずじっと見つめていたら、ふと美少年が視界から消える。

あっと思ったときにはすでにかがんで本を拾い、私に差し出す。


「どうぞ」

「っ、ど、どうも……」


うん、と私に向けられたその表情は、先ほどのヤンキーたちに向けたそれとは比べ物にならないくらい優しくて。