「えーなんでー?オレたちやさしーよぉ?保健室でいっぱいイイコトしよーよぉ」
「せ、先生がいるからっ」
「ぶはっ!やる気満々じゃん!じゃあオレたちしか知らないヒミツのお部屋があるからそこ行こーよ!きーまりっ」
「っあ、ちがっ、ちょっ……!」
無理やり手を引かれてその場から連れ出されそうになった、その時。
「すみません、落ちましたよ」
よく通る声。
ヤンキーたちの動きが止まる。
「……、」
「落ちましたよ、本」
もう一度ゆっくりと、明らかに私たちへ向けられた声。
振り向くと、床を指差してこちらを見ている少年が立っていた。
ヤンキーが邪魔でよく見えないけど制服をきちんと着こなしていて、少なくとも彼らと同類ではなさそう。
「あぁ?だれだテメェ」
私の手首をつかんでいない方のヤンキーがオラオラ威嚇しながら少年に近づく。
少年はおびえることなく無表情のまま。
「……はちぎ」
そう一言。



