チャラ男も笑えば雑巾に当たる


教室に戻るとそれはそれは大盛況。

カナミも目をキラキラさせて「ロマンチック〜♡」なんて茶化してくるし。

蜂技くんは片方の口角を上げて呆れ気味に笑っているし。


「も、もう歩けるから……!おろしてっ」


教室のど真ん中で立ち止まらないでよ……。
みんなこっち見てる、はずかしい、早く降りたい、帰りたい。

両手で顔をおおいながら小さく悲鳴を上げると、犬井駆は私の名を呼ぶ。


「みのりん、ぼくをみて」


その声がやけに甘くて、やさしくて、色っぽくて。

なに?と思って見上げると、きみはいたずらに笑って。


「……っ!!!!」


唇が触れた。

きみのそれと私のそれが。


ふぁ、ファーストキッスうううううううううう!



「「「「「キャーーーッ♡」」」」」


女子も男子も大歓声。

すると校内放送から一番好きな曲が流れてくる。

────『My Cat』だ。



「大好きだよ、ぼくのねこちゃん」


熱がはなれて甘ったるい声はささやいて、

ゆっくり私をおろして抱きしめる。



「……ばか」



それが精一杯の返事だった。