「あは、みのりん顔真っ赤」
「っ……あんたこそッ」
「おそろいだねえ」
「〜〜〜〜っ、このやろうッ……!」
えいっ、と手に握っていた雑巾を投げた。
ベチャ。
「あ」
そこをねらったつもりじゃなかったけど……。
「ふは、くっさ」
顔面に張り付いた雑巾をつまんで退かした先に現れた形相に、私はドン引きする。
「…………え」
だって、幸せそうに口元がゆるんでタレ目が余計にタレ目になって、甘いフェイスが台無しの変態少年の顔なんだもの。
よろこんでる。
よろこんでるよ、顔面に雑巾くらったのに。
「あは、みのりんの雑巾ならいくらでもくらえるわあ」
え、アタマだいじょーぶ?
狂った?私のこと好きすぎてトチくるっちゃった?
「ばかじゃん」
「ハア…いいねえみのりん、もっと言って?」
「む、むり、近寄らないで……きゃああああッ」
両腕を広げて私に襲いかかってくる大型犬から逃げようと後ろに飛び退く。
けれどしっかりつかまって、後ろからぎゅっと抱きしめられるかたちでホールドされた私は。
羞恥心のあまりへなへなと力が抜けて身をあずける他ない。



