犬井駆は純粋で馬鹿正直で鈍感だから、どうして女子が自分に集まってくるのかきっと真意を知らない。
たとえその女子が下心ありきで接触しても前例のように近い距離でベタベタふれるんだ、相手のこころにまで無意識にベッタベタと。
今日に限ったことじゃない。
付き合う前だって誰にでもそうだった。私にも。
以前はただのクラスメイトだったから気にならなかったのに、好きだと自覚してからはイヤでも目につく。
モヤモヤする。ムカムカする。チクチクする。
胸の奥がざわめいて不愉快になる。
この感情には名前があって、それは嫉妬。
これは紛れもなく嫉妬ってやつだ。
「はあ……」
イヤだ……自分がこんなに独占欲強いなんてきいてない。
いくら犬井駆がかわいいと言ってくれても私はそうは思えないよ。
たびたび頭の中が黒いドロドロした感情で支配される女のどこが魅力的なの。
さっきの態度も短気な女って思われたかもしれないし。



